Hiroshima Photography

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ちえちゃんと慢性活動性EBウイルス感染症

松来未祐さんと交流のあった声優のみなさんが、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)の啓発や、骨髄バンクのドナー登録を呼びかける催し*1を昨年ひらいたと聞きました。

2012年11月30日午前2時17分に息を引き取ったちえちゃんもCAEBVの患者さんでした。治療のためにちえちゃんは休職し、住んでいる町から遠く離れての入院生活を余儀なくされました。専門医を求めて、家族やふるさとと離れなければいけないほど珍しい病気。病床からメールやSkypeで教えてくれたのはちえちゃんです。

ちえちゃんは、まりちゃんが配信するツイキャスの常連で、Skypeやメールをよく送ってくれました。元気になって迎える来年の誕生日には、家族にあらためてお礼を伝えること、勤め先のこと、ソナーポケットのおすすめの楽曲、地元のおいしいランチ、東京ディズニーランドのアトラクション。車いすが手放せないまりちゃんに、「あたしがしっかりサポートするから、一緒にディズニーランド行くときはおまかせあれ」と胸を張る頼もしい女の子でした。

とにかく慢性活動性EBウイルスについてみんなに知ってほしいとTwitterの投稿にも熱心で、実家のお姉さんが用意してくれたウィッグを写真に収めたり、薬の副作用で出血が止まらずたいへんだったこと、少しだけ食べられるようになったお昼ごはん、高熱にうなされたことなど、入院生活を伝えるツイートは、天に召される前日までつづきました。

「まれな病気だからこそ、知ってもらうことで研究が進んだり、早期発見ができたり、保険が適用されたり、近所の病院で診てもらえたりするから、あたしだけの問題じゃないの。」ちえちゃんは、つらく苦しい治療とは別のところでも立ち向かっていたんですね。

深夜から明け方の時間に短いメッセージが届くこともありました。「人間は死んだらどこに行くの?」「明日の朝が来ない気がして眠れない」「あたしが死んでも思いださなくていいから忘れないでほしいの。ここにちゃんといたこと」「あたしの人生はなんのため」。ちえちゃんは受け取った相手の気持ちを想像したはずです。それを押して送信せざるを得なかった恐怖や痛みを想像しています。

そう、想像しているのです。

*1:松来未祐さん愛悼イベント「サンキュー!未祐ちゃん」千代田区北の丸公園 科学技術館 2016年9月11日